書籍・雑誌

2017年7月 6日 (木)

『オリーブ』

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 『オリーブ』 吉永南央 著 文春文庫2012☆☆☆☆

 家族など大事な人の事を分かっているようで分かっていなかった不思議な、でも誰にでも起こりそうな物語の短編が5編。どれも少しミステリーの様で面白かったです。また、大事な人の事を大きく誤解していたり、大事な家族のある面を自分は全く知らなかったりという話が多いのですが、それで暗く救いようの無い気持ちになるかと言えば、そうではなくどこかに光を感じます。何と言えない爽やかな読後感です。

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2017年7月 3日 (月)

『ロシア極東 秘境を歩く』

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『ロシア極東 秘境を歩く』 相原秀起 著 北海道大学出版会2016☆☆☆ヨ
 道新の記者が「極東」という記事で連載していたものをまとめたものです。
 北千島、サハリン、シベリアサハ共和国の3部からなっています。一番面白かったのは北千島。第二次世界大戦の日本軍の軌跡をたどるところが(サハリンもそうですが)興味深かったです。第3部は大黒屋光太夫のたどった道の追体験になっているのも面白いです。
 著者は私の一つ年上で同時期に同大学で過ごしていた人の様です。
 

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2017年5月14日 (日)

『人情ヨーロッパ』

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『人情ヨーロッパ 人生、ゆるして、ゆるされて』 たかのてるこ 著 ダイヤモンド社2016☆☆☆☆☆
 この本は、素晴らしいです。たかのてるこさんはテレビなどにも出ているバラエティタレントに過ぎず、この本も面白おかしく旅するおちゃらけ本だと思ったら、全く違いました。
 そもそも中欧と東欧は私自身もものすごく思い入れのある地域です。そこをたかのさん、一つ一つの国は短い滞在期間ながら、考えられない行動を取り続け、普通では決して味わえない深い出会いを次々にしていきます。女性一人旅でこれほど過激に旅が出来るものでしょうか?
 しかも、彼女の旅は、欧州の人と出会いながら、自分自身の内面に迫る旅でもあります。自分自身の内面に迫った気持ちと、出会った欧州人の気持ちが共感、共鳴し合うとき、何とも言えない感動が生まれます。それが、読んでいる私にも伝わって来ます。
 特に、ボスニア・ヘルツェゴビナのデイビッドとの出会いは凄いです。
 旧ユーゴの中で正教のセルビア人、ムスリム、カトリックのクロアチア人がバランス良く共存していたのはボスニアだけだったというのも私にとっては大きな発見でした。ボスニアこそがユーゴスラビアの縮図だったのですね。
 それはさておき、デイビッドとてるこの語り合いには本当に感動しました。
 その他の出会いも、滞在期間に比べてかなり深いものが続きます。
 ちょとだけ無理しすぎではと思う所はあるけれど、凄い本です。

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2017年3月13日 (月)

『マイグランパ』新渡戸稲造

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『マイグランパ 新渡戸稲造』 加藤武子・寺田正義 著 朝日出版社2014☆☆☆
 新渡戸稲造の孫である武子さんへのインタビューとその補筆からなる本です。生身の新渡戸稲造が大変に勤勉で読書家で、かつ国際感覚に優れた人であったこと、同時に家族思いでもあったことが孫の言葉を通して実感できます。私ももっと勉強しなくてはいけないなと言う気持ちに少しだけなりました。

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2017年3月 5日 (日)

『熊撃ち』

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『熊撃ち』 久保俊治 著 小学館2009☆☆☆☆☆京
 これはすごかった。面白いです。こんな人が北海道にいたなんて。小樽出身です。知床の付け根の崎無異川と薫別川の間で牧場を営みながら、いまだに熊猟をいしている方です。
 文章も読みやすいです。自然の描写も素晴らしいです。なによりも、熊との駆け引きは手に汗握ります。そして最良の友狩猟犬フチとの日々と別れ。あくまで謙虚な生き様。
 崎無異川と薫別川は私の長男が生まれる時に妻が里帰り出産をするのをいいことに、ヤマメ釣りにキャンプなどをしに入った所です。私でも一日中人間には一人も会わず、オショロコマを昼食にして釣りあがり、背中に熊に見られている気配を感じた(私の場合は気がしただけだと思いますが)所です。
 私が入ったのでは1990年代の終わりですが、そのころでも自然の深さはかなりのものでした。1970年代の知床は、それこそ手つかずの大自然だったのでしょう。そこで視覚や聴覚だけでなく、あらゆる感覚を研ぎ澄まして熊を追う日々は、ある意味最高の贅沢だったのかもしれません。
 本当に凄い人がいたものです。

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2017年2月23日 (木)

『ヴァラエティ』

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『ヴァラエティ』 奥田英朗 著 講談社2016☆☆☆京
 奥田さんの短編を脈絡なくあつめたもの。一つ一つはそれなりに面白いですが、途中の対談は私には不要でした。

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2017年2月21日 (火)

『サハラに死す』

 

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『サハラに死す』 上温湯隆著-長尾三郎構成 ヤマケイ文庫1975-2013☆☆☆☆高
 小学生だった頃から、この本の存在は知っていた気がしていました。しかし、読んだことはありませんでした。
 1975年と言えば私は小学5年でモスクワ滞在1年目。そんな時にほとんど金も計画もしっかりしないまま、ラクダ1頭だけで3000kmも横断したのは、驚きです。冒険と言うより無謀に近い感じがします。逆に言えば、金が無くてもそこまで移動できるものなのですね。
 1頭目のラクダが死に一旦は旅を諦めるものの、ナイジェリアのラゴスで日本人社会を頼り、またお金を借りて、ニジェールに戻り、新たなラクダを購入して、1頭目のラクダが死んでいる所を探しに行った直後に、(たぶん新しいラクダから振り落とされたことによって)あっけなく死んでしまいました。
 植村さんの本を読んだ時よりもずっと危うさを感じ続けていました。やはり無謀。正直、何やってるんだと思う場面が沢山ありました。同時に、何かに惹かれてしまいます。それは時代への懐古の様な気もします。それとも、私にもまだ若さが残っているのでしょうか?

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2017年1月14日 (土)

『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』

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『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』 渡邉 格 著 講談社2013-16☆☆☆☆高
 この本は面白かったです。大きく二部構成になっていて、前半は自分の人生と重ねあいながらマルクス経済の説明、後半は麹菌にこだわった千葉→岡山での田舎のパン作りです。
 資本論の部分はけっこうアバウトな分析だなと思いますが、麹菌のために有機栽培ではなく自然栽培の大切さに気付く部分(正直、私も自然栽培のことは知りませんでした)、麹に出来た様々な色の4つカビのうち、どれが使えるものかを知るために本とかで調べるのではなく実際に全部自分の口に含んでみて人間の感覚で探ろうとしたことなど、感心しました。
 生き方としてもなかなか凄いと思いますが、ニセコ周辺にも似たことを実践している人は多くいると思います。その正しさをマルクスを使って説明しようとしている所が、無理がありながらある部分は納得します。
 ここで作られているパンを食べてみたくなります。本にはあまり書かれていない(奥さんの担当)けれど、どうやって販売しているのでしょう?「タルマーリー」というお店です。
 HPはみつかりました。
https://www.talmary.com/

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『なぜフィンランドの子どもたちは「学力」が高いか』

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『なぜフィンランドの子どもたちは「学力」が高いか』 教育科学研究会 編 国土社2005☆☆☆京
 フィンランドの教育の本は随分読んだので、その予備知識があったので面白く読めました。学者を中心に8人の方がそれぞれ書いているのですが、その統一性はあまりありません。最後の庄井先生の書いていることは、全くわかりませんでした。
 フィンランドで読解リテラーシーが高いのは、スウェーデンやロシアに長く占領されていた反動からフィンランド語を大切にしようとした伝統が良い影響(図書館の充実など)を与えていることや、普段シャイと言われているフィンランド人が、子供に対しては(自分の子供でなくても)真剣に行動的になる事などは新たな発見でした。
 今更ながら、教育費は全額国庫負担、大学も全額無料という部分だけ見ても、見習うべき事は多いと思います。 

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『希望の資本論』

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『希望の資本論』 池上彰・佐藤優 対談 朝日新聞社2015☆☆☆高
 資本主義社会を生きぬために資本論を読んでみようというトーンの本です。私も学生時代全部は読み切れませんでしたがほぼ読んだので(読んだ気になっているだけですが)、納得できる部分も多くありました。佐藤さんの『いま生きる「資本論」』や池上さんの『高校生からわかる資本論』も読んでみたいなと少し思いましたが、読まないと思います。

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