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2015年5月10日 (日)

『本当の戦争の話をしよう』

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『本当の戦争の話をしよう』 伊勢崎賢治 著 朝日出版社2015☆☆☆☆☆

 今は東京外語大の教授ですが国連幹部として東チモールやシエラレオネ、アフガニスタンで武装解除の当事者として携わった著者が、福島県の福島高校の高校生たちに行った講演をまとめたものです。

 好きか嫌いかと言われれば、私は著者のことを好きになれないかもしれません。しかし、彼がある意味命もかけて行ってきた紛争地での公務員的活動は、きれい事ではいかない現実の話ばかりです。そこにイデオロギーや誇張、嘘が入り込む余地は無く、様々な場面で経験した現実を突きつけてくる凄さがあります。

 この本で新しく知った言葉に「セキュリタイゼーション」というものがあります。大衆煽動のことだと思いますが、その実体と危険性、さらには対処方法まで高校生と一緒に考えている部分は新鮮でした。

 「もしもビンラディンが歌舞伎町で殺害されたら」とか「もしも自衛隊が海外で人を殺してしまったら」など、講話の設定も工夫されていて面白いです。福島の高校生がそれに対して予想以上に深く返してくるのもすごいです。

 アフガニスタンの武装解除は彼が主導してカルザイ政権を後押しし、「日本人」としての良い意味での誤解を最大限に利用して行ったそうです。しかし、それがアメリカの選挙の影響もあり、権力の空白を生んで再びタリバンが復活する原因を作ってしまったという下りは迫力があります。著者自身は、それが結局アメリカの手のひらの中で動かされたことになってしまったと分析しています。

 主義だとか主張とかがほとんど出てこないけれど、全体として大きなメッセージが伝わってきます。なかなか読み応えのある面白い本でした。

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コメント

ブルベお疲れ様です。
今度の17日のノーザンフォースマラソン出ますか?

投稿: | 2015年5月16日 (土) 06時59分

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