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2014年11月22日 (土)

『氷結の岩』

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『氷結の岩』 溝口徹 著 響文社2014☆☆☆☆

 豊浜トンネル事故の事を題材にした小説です。著者は当時の道新の記者。トンネルが崩落しあり得ないタイミングでたまたま通りかかった古平から小樽方面に向かうバスと乗用車一台が巻き込まれ、高校生らを中心に20名が亡くなったあの事故です。本当に1秒でもずれていればと誰もが思ったあの事故です。

 読んでいて最初、「どうしてノンフィクションにしないのだろう。無理して小説にしなくてよいのに」と思っていましたが、後半はぐいぐい引き込まれました。開発局などの関係機関、そして何より遺族の気持ちを考えると、ノンフィクションでは書けなかったのだと解ってきました。

 遺族感情を無視した国の責任回避の行動なども勿論描かれていますが、この小説の主人公は実は新聞記者である著者自身なのかもしれません。著者はその後、道新から読売新聞に転職し、横浜支局などを経て現在は新潟支局にいるそうですが、20年たって駆け出しの記者だったころの自分を振り返っている気がします。

 そこに描かれている新聞記者の姿、殊に遺族との本心からの心の触れ合いにとても暖かい感動を覚えました。そして開発局の中にも、人間の心を失わずに人知れず立ち回った人がいたことにも。  

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