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2014年2月15日 (土)

『キャパの十字架』

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『キャパの十字架』 沢木耕太郎 著 文芸春秋2013年 ☆☆☆☆☆

 「深夜特急」で有名な沢木さんが、あの「崩れる兵士」は撃たれていなかった?という疑問を検証するノンフィクションです。

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 スペイン内戦で撮影された「崩れる兵士は」キャパの名を世界に轟かせた報道写真の最高傑作とされています。しかし、「本当に兵士は撃たれたのか?」、さらに調べていくうちに、「本当にキャパが撮影したのか?」という疑問が生じ、それを何年もかけて一つ一つ検証していきます。

 様々なインタビューやスペイン、フランス、アメリカなどの調査の中で、撮影場所について、通説とされているスペインコルドバの北20kmほどのところにある「セロムリアーノ」ではなく、コルドバの南東40kmほどの「エスペホ」近郊であるという説にたどり着きます。

 沢木さんは現地の地形図なども手に入れ4度も現地を訪れる中で、このあたりが真の撮影ポイントだという場所を特定します。さらに、キャパが使っていたのと同型のライカで背景を撮影し、自分の仮説を証明していきます。

 地図好きな者としては、このあたりの部分は大変ぞくぞくします。カメラファンだとまた別の面からの興奮があるのかもしれません。

 本の大部分は、何年もかけたこの検証で費やされています。それ自体が沢木さんの執念の様な作品です。キャパやスペイン人民戦線の名誉のためにもそこまで真実を明らかにする必要は無いのではという気もしますが、沢木さん自身が本当にキャパの事が好きだから、真実のキャパ像を知りたかったということがひしひしと伝わってきます。

 しかし、この本の真骨頂は、ページ数はほとんど無い最終章にあります。「十字架」の意味がそこではっきりし、爽やかな感動を覚えます。

 このテーマ、初めて聞く話ではなかったなと思ったら、20年以上前に沢木さんの出した『ロバート・キャパ写真集』を購入し保有していました。

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 今一度写真集を見てみると、沢木さんの見方とは別に、やはりキャパはすごいなと思わせる写真がいくつも出てきました。特に若い時の周恩来の写真には、思わず唸り声が出てしまいました。

 そういえば、キャパはユダヤ系ハンガリー人でした。

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