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2013年11月24日 (日)

『戦争格差社会アメリカ』

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『ヒロシマ記者が歩く 戦争格差社会アメリカ』 田城明 著 岩波書店2007年
 9・11後のアメリカに、被爆者問題に関わって来た著者が様々な人にあってインタビューをい続けていきます。
 9・11後のアメリカからは民主主義が消えたようです。西アジア出身者や白人学者でもイスラム教に改宗した人に対しては、不当逮捕や拘束、国外退去などが横行していたことが、その当事者たちへのインタビューで明らかになっていきます。何人もの証人が登場します。これが民主国家アメリカとは信じがたいです。第2次大戦時に、日系人を全員強制収容所に送った時と似ています。
 次は退役軍人。イラク戦争で劣化ウラン弾の危険性を一切知らされずに参戦した兵士たち。帰国後、湾岸戦争時と同様に、本人自身の体調不良や右手の指が欠損した子の誕生。帰還兵がホームレスになっている現実。そんな中、良心に基づき兵役を拒否した中尉にもインタビューしています。
 第3章はハリケーンカトリーナによる被災者や都市の貧困層の取材。白人層にも高額医療費を払えないことから貧困に陥る例など、アメリカ社会の格差拡大の現実がどんどん明らかにされていきます。兵士になるのは、貧しい人々で、徴兵のキャンペーンのために多額の税金が使われています。
 第4章は、戦争に荷担するのみに陥ってしまったメディアの現状に加えて、未だに核兵器や生物化学兵器の開発を止めないロスアラモス研究所(戦術核)、ローレンス・リヴァモア研究所(生物兵器・核兵器)、ヴァンデンバーグ空軍基地(ICBM)を取材しています。同時に反対する人々も。
 第5章はこれらのアメリカの現実に対して、様々な形で闘っている人たちの取材です。アメリカという国は、こんなに変になってしまっているけれども、同時に政府に対して反対の声を自分なりの形で上げている人の多さにも驚かされます。
 5年ほど前の本ですが、こんな国にはなってはいけない、見習ってはいけない国の例としてのアメリカが、著者自身の足で取材した人々のインタビューにより、はっきり伝わる本でした。残念ながら現実には、日本は「グローバリズム」という名の下にアメリカを見習う政策が続いてしまっています。
 特定秘密保護法案など、とんでもない!

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